教えて!インタビュー こども食堂ぎふネットワーク宮崎孝司さん編

教えて!インタビュー こども食堂ぎふネットワーク宮崎孝司さん編

こども食堂のホント、知ってますか?

今回は、2021年6月6日羽島市の「こども食堂共同農園」で実施された「体験型遠足こども食堂」にお招きいただき、その場で地域支援活動団体「こども食堂ぎふネットワーク」代表の宮崎孝司さんにお話を聞きました。

多くの方が耳にしたことのある「こども食堂」という名前。でも、「こども食堂」のホントを知ってますか? 運営している方からの「知って欲しいこと」をお伝えします。

こども食堂について

眞坂)こども食堂の運営方法を教えてください。

宮崎)各団体ごとの運営方法があり、助成金、みんなの持ち寄り、寄付など、それぞれ違うんです。

眞坂)こども食堂は、市町村単位で1ヶ所、などの設置ですか?

宮崎)岐阜県には、北の神岡、恵那から南の養老、海津までいれると53団体のこども食堂があります。岐阜市内でも近場で2~3ヶ所あったりします。地域で「やりたい」という人がやっています。

眞坂)参加したいお子さんについて、何か条件みたいなことはあるのですか?  どなたでも参加可能ですか?

宮崎)条件的にはあまり無いんですが、日曜日や土曜日の昼間やっていて、予約制の所もあれば、僕の所(たけはなこども食堂)のように、第一と第三の火曜日の5~8時までやってるとお知らせしていつでも来てくださいと言う所もある。それぞれ違うんですよ。

眞坂)費用なども違うのですか?

宮崎)違いますね。完全に無料でやってる所もあれば、僕の所のように、子どもは高校生まで100円。大人200円と言う所もある。

眞坂)「こども食堂」という名前は知っていたのですが、開催の告知などの情報を見たことはありませんでした。お知らせはどのようにしていますか?

宮崎)学校にチラシを出したりなど、それぞれのやり方でお知らせしています。中には学校に協力を求める所もあります。

眞坂)行政とかもですか? 市役所などにも?

宮崎)非協力的な感じはします、「はい、いいですよ。わかりました」と言うのに載せてくれない。学校にも協力的な所と非協力的な所がある。校長先生の考え方ひとつです。「こども食堂」が今でも貧困対策という考え方では、それをやることによってこども食堂に行った子はいじめの対象になるという風に思ってる先生も中にはいるわけです。僕らは「貧困対策だけではないんだよ、地域の人たちが集う場所なんだよ」とお伝えはしているんですが、まだまだ貧困対策という考え方が根強いですね。

眞坂)子どもが学校で告知を見ることがなかったり、親御さんが忙しくて学校に行けないお宅では情報の入手は難しくなりますね。

宮崎)今ここに来ている子どもたちは、みんなお父さんとお母さんと来てる。どの子が貧困家庭の子かなんてわかんない。だから調べずに動いてるこども食堂は結構あるけれど、こうやって子ども達が楽しい場所だと思ってきてくれるという、それだけで十分。そこから子どもたちの伝達って早いんで。「かがやき」さんという訪問医療やってる病院がこども食堂を立ち上げた当初は40人くらいだったのが、学校の中で情報が広がって今や150人の子どもが来ています。子どもばかりで学童保育的な感じになってるんですよ。それでも貧困対策ではない、と理解がされない部分もある。

眞坂)では、こどもの口コミで広がることが多いということですか?

宮崎)僕らがこども食堂をやってるのは、困っている子に来てもらいたいけれど、どの子とはわからないから調べるよりは長く続けることによって困っている子達が「こども食堂」の声を聞いて行ってみようかなって思うようになればと考えています。

眞坂)現状は寄付とか色々あるようですが、運営状況の費用とか人的なものはどのような感じですか?

宮崎)例えば僕ら「たけはなこども食堂」は、初めにこども食堂を運営する「はしまたけのこ会」という団体を立ち上げたんです。会員を募って年会費一人1,000円集め、90人くらい集まり9万円になりました。その後に寄付が集まり合わせて15~6万くらいになり、そのお金を利用してこども食堂をやりました。年間で会員さんから会費を集めて運営していく。その上で高校生まで100円、大人200円を集金する。継続するための手段です。行政や助成金ありきでは良い時は出してもらえるが、調子が悪くなると出してくれない。出してもらえずに、そこからガタっとなるこども食堂が結構あるのでそれはおかしいやろと。なので自分たちでできる事は自分たちで一生懸命やっていこうと。

眞坂)メインは1本通っていて、メインプラス寄付などで潤っていくといういう形ですか?

宮崎)それだけでは不十分。 色々な活動を長くやっていくと他の組織が集まってきて物の流れは良くなります。たとえば、セカンドハーベストさんからは「こういう物があるんですよ、こども食堂さんどうですか?」って言ってもらえました。「いただきます!」となって今日みんなに食べてもらった豆乳でできたチーズをもらいました。さらにはJAさんから「600本明宝ハムを寄付したいんです」「玉ねぎが取れたので数ケース持ってきました」とか。

宮崎さんの能力

眞坂)コミュニケーションを取るのがお上手ですよね。だから凄いネットワークをお持ちだなのだなと思います。ネットワーク力みたいな所はやはり大きいですか?

宮崎)あはは(笑)

眞坂)ですよね、きっと!(笑) 私にはそういう力が無いので、感動してしまいます。人的なネットワークはお困りにはなってないですか?今日もボランティアの方結構来ている様子ですが、

宮崎)「こうやりますけどやっていいですか?」じゃなく、「これやりますから手伝わせてください」ってなっちゃうから笑 「じゃぁ手伝える人来てください」って、一声あげます。お風呂に入ってる時に、「これやらないかんけどどうしよっかなー」と考え始めると、ここへ到達させるのにこの人からつながったらつなげるんじゃないかなとか。

眞坂)そうですよね! 電話でお話してても、頭の中でネットワークづくりが常にあるような感じなんです。

宮崎)この人からこういって、ここの人からこういって(笑)

眞坂)そういった能力をお持ちの方だと運営しやすいということですね。

コロナウィルス禍でのこども食堂

眞坂)コロナ以前と今のコロナ禍ではこども食堂のあり方はどうですか?

宮崎)辞める所もあれば、この時だからやらなあかんとなるとこもある。でも僕は、それをどうやろうかと思ったときに、これはだめだろ、これもだめだろって、だめばっかりを考えるより、これをやるんだったら、これとこれとこれをクリアすればOKじゃんって考える。その為にはどうやろかって。これやろ、これやろってやる方向で攻めていけばできるんだけど、壁にぶち当たってそれで辞めるって、一つでもあったら引き下げる所いっぱいあるよ。でも、やっぱり工夫というか、自分が無理やなぁと思ったときにちょっと誰かに頼む、やるために誰かに頼んでクリアしてもらう。クリアすればなにも文句言わんやろと。

眞坂)3密などで閉鎖的な空間で、できなければこういった体験型を取り入れて野外で実施するといった考え方ですね。

宮崎)まず畑やらんかと言われて。「畑! んー、遠足やな!」って思ったわけ、こども食堂の人たちが。畑への遠足だったら、パーッと植えてもらってからの食事。それに農業なら食育にもなる。

眞坂)なるほど。頭が柔軟だからヒントがあると、いろんな発想がわくんですね。発想力みたいなのが素晴らしいなと感じます、お話してるだけで。コロナ禍において特に必要としているものとか、困ってることとかありますか?

宮崎)コロナ禍でこども食堂はどうか?  と思う人もいると思うけれど、僕がこども食堂を考える時、一番最初に誰にポイント合わすのかって考える。大人に合わして大人から文句言われんようにするっていう考え方や、これをやるとどっかから変なこと言われないかではなく、子どもがどうやったらここで楽しむことができるかって考える。その上でただ、「遊べよー」ってやるよりは、なんかちょっと知識とかの何かを持って帰ってもらいたいと思う。子どものためにやりたいっていう基本はあるんで、そのためにどうやろう?って思う。そしたらいろんな知恵が出てくる。

知ってほしい

眞坂)今回のお話をエシカラのブログの”インタビューコーナー”で発信していこうと思っていますが、見ていただいた方にこども食堂に対して何らかのアクションをお願いするとしたら、どのような事がありますか?

宮崎)だいぶ良くはなってきているけれど、こども食堂っていうのが貧困という点でまだ「気の毒な子が行くんだ」というイメージが強いのでそれを払拭したいなと思っています。こども食堂って本当は2種類あるんですよ。僕らみたいにやってるのは地域コミュニティ型のこども食堂なんです。だからこども食堂っていう名前が付いてるけれど、いろんな方が集まってくる。おじいちゃんやおばあちゃんも。もう一つのこども食堂はケア付きのこども食堂。本当に貧しくて貧困の中で勉強もなかなかできないような子ども向けの無料の学習塾をやっている団体が、「ここへ来たらご飯も出すよ」という型。どちらも助けが必要な子どもたちの力になりたい思いは共有しているけれど、そこにいる子どもたちはみんなが貧しい、気の毒な子どもばかりではないということを知って欲しい、そして社会から偏見無くこども食堂を見てほしいと思います。必要とする子どもたちがそうでない子どもたちとも楽しめる場所としての役割もあるのが「こども食堂」なのだから。

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