教えて!インタビュー 『かるなぁ』余語さん

教えて!インタビュー 『かるなぁ』余語さん

かるなぁさんインタビュー

インタビューおふたりめは『かるなぁ』余語(よご)さん
かるなぁさんのサイトはこちら
ベジタリアン・ヴィーガンの方にも安心な自然食品の製造販売の老舗、名古屋のかるなぁさんにお話を伺いました。
エシカラは自家菜園で野菜を作っていますが、ヴィーガンという訳では無いので、知らないことを沢山聞くことができそうです。
実は、エシカラはるさんは10数年前までは超偏食生活だったので恐る恐るのインタビューでしたが…。
約1時間に渡り、にこやかに笑いを交えてお話ししていただきました。

ヴィーガン・ベジタリアン地域性

エシカラ)’22Vol.9夏号の特集は『アニマルウェルフェア』で、動物福祉を取り上げます。そこで、お肉料理を減らす意図のレシピをヴィーガン&グルテンフリーのベジキッチングーグーさんにお願いした時に、かるなぁさんから食材を購入しているとお聞きしました。

かるなぁさんからは、次号特集についてとその他、食生活に関してお話をお聞きしたくて伺いました。

 

余語さん)グーグーさんとは開業してからのお付き合いで5年以上になります。ベジキッチングーグーのオープン当時からお世話になっています。

名古屋はなかなかヴィーガンやベジタリアンのお店が根付かないです、開店しても3年位で閉店してしまうお店が多いですね。その点、グーグーさんは継続して、人気店でもありますね。

 

エシカラ)おいしいからですね。

 

余語さん)美味しくて流行っている。あのようなお店が増えるといいですね。東京では、ヴィーガンのお店やヴィーガンメニューのある店がそこらじゅうにあるのですが、なかなか名古屋は根付かないんですよ。名古屋の方には需要がまだないのかな? 京都・大阪はそれなりに増えてきてはいるんですけど名古屋は一向に増えません。

 

エシカラ)音楽文化なども、狭間で名古屋は遅いですよね。その傾向もあるのかもしれないですね。

 

余語さん)東京ですと海外の方も多いですし、感度の良い方が多いからエコやエシカルだったりヴィーガンだったりいろんな方がいるから、そういうお店も結構賑わうのですが、名古屋はなかなか…。笑

ベジタリアン、ヴィーガンのお店は名古屋は数店ですね。専門店というのは本当に少ないと思います。東京には専門店だけで200店以上ありますね。

 

エシカラ)京都の方は結構多いですよね?

 

余語さん)京都はもともと海外からの観光客も多いですし、ヴィーガン・ベジタリアンのお店は色々あって、根付いています。

私たちの会社は今年で32年になります。ヴィーガン・ベジタリアン専門でやっていますが、ヴィーガン業界の中では老舗みたいな感じになっていますね。会社として32年は長くないですが、ヴィーガン業界としては長い方です。

 

エシカラ)業界では有名ですね。

 

ヴィーガン・ベジタリアンの広がり

余語さん)コロナ前でインバウンドが一番凄い時に、海外からの観光客が年間3千万人程。うち10%くらいがベジタリアン・ヴィーガン・ハラルの関係の方で、各ホテル、レストランが一斉にメニューの準備をしていたのですが、コロナで一気に変わってしまって。

その中で、大手企業、ハム会社・ソーセージ会社、畜肉系の会社がインバウンド向けにヴィーガン食品ではないけれど、植物由来の開発をしていました。それらの商品がちょうどコロナの頃に発売になり、去年(2021年)がいわゆる大豆ミートブームと言うか、大企業がプラントベースのフードをイオンなどで販売を始めたことで、一気に大豆ミートの認知が上がったというがあると思います。

今はそのブームが落ち着いてきた感じですかね。各大手がほとんど発売されたので、今後これがどのように定着していくかと言うところなんですが。

 

エシカラ)美濃加茂にわらべ村という自然食材のお店があり、フリーペーパーを置かせていただいているんですが、多種多様な食品があることに驚きました。お話したら名古屋の方から買いに来られる方も多いとのことで、そのようなやり方で続けてみえるのは力強く感じました。

このかるなぁのカタログもこんなに厚いカタログで、やはり精査して仕入れてらっしゃるんですか。

 

余語さん)オリジナル商品でうちで製造した商品もありますし、普通の一般商品からヴィーガンの人でも大丈夫っていう商品を取り寄せて、販売する商品もありますね。1000アイテムくらいなんだかんだと…カタログ以外の商品もありますので。

 

エシカラ)製造はどういったものですか?

 

余語さん)かるなぁでは惣菜品を作っています。ここのうら側が工場になります、そこで大豆ミートを使ってハンバーグやミートボールにしたり、加工食品を作っています。

 

エシカラ)料理の手数が多いのが苦手です、時間のかかるイメージが強くて。このような惣菜があれば取り入れやすいですね。

 

余語さん)もともと乾燥したものが大豆ミートとして昔からあるものなんですけど、かるなぁのこだわりというか、国産大豆を使って製造しています。外国産だと遺伝子組み換えの大豆になってしまうので。

国産の大豆を使用して、製法も普通の大豆ミートよりはこだわっていまして、一般的な大豆ミートは外国産の大豆を化学溶剤をかけると油だけジャーと絞れるんです。油を絞るのが目的なんですね。いわゆる業務用の大豆油とか、ああいったものは全部溶剤をかけて絞っています。そうすると98%油だけ落ちるんです。残った残渣を脱脂大豆と言って、脱脂大豆を2次加工、3次加工して大豆ミートが作られています。

それは大豆ミートだけではなくお味噌、醤油も脱脂大豆を安く買って、そこでカラメル色素で色を付けて発酵させて醤油を作ったり、お味噌もそういうのを使うと早く安くできるので。

普通はお味噌も醤油も大豆を発酵させて半年くらい寝かせて味噌とか醤油になってくんですけど、それを簡単に作るために脱脂大豆を使っている。

だからスーパーで安売りされている安いお醤油や味噌を見てみると、原材料には大豆って書いてないんです。脱脂大豆と書いてあります。ぜひ一回安い味噌や醤油を見てみてください、脱脂大豆と書いてあります。

しかし、脱脂させるときのケミカルな溶剤を嫌がる方もいるんで。人間が飲めば即死するものですが、揮発性なので表示義務がないんです。

名目上は残らないけれど、全部が揮発するわけじゃないので、残留すると思うんですけどね…でも表示義務はないので皆さんは知らないですよね。業務用の安い油はそのように絞られています。

自然食品を取り扱う私達やわらべ村で取り扱う油は昔ながらの圧力で絞る圧搾絞りです。そうすれば安全性が高く酸化しづらいんです。

圧搾のほうが長持ちしますね。ヘキサンの絞ったやつはすぐ酸化してしまいます。圧搾は二倍以上持つと思います。

 

エシカラ)つい最近ケミカルなものを使った方法と、圧搾の両方があることを知ったのですが、圧搾のほうが長持ちするのは知りませんでした。どちらかと言うと圧搾は鮮度がすごく高いものだというイメージがあって、だから劣化するのも早いのかなと思っていました。

 

余語さん)私達の商品は脱脂大豆を使わず圧搾で絞って作っています。脱脂大豆で作ったものは油がないから旨味がないんですよ。

でもこれはまだ少し油が残ってるので旨味が残ってるんですね。

食べ比べると味がはっきりわかります。これは食べると大豆だなってわかります。変な大豆臭がないですね。ほんのり甘い大豆の香りはしますけど。

 

エシカラ)私は10年くらい前はほぼ肉中心の偏食でした。中でも豆がとにかく苦手でした、青臭くて。岐阜に移ってから土地を貸していただいて、自家菜園をするようになって豆を作ったんです。夫は食べるものですから。

美味しそうには見えないと思いつつ、色はきれいだねって感じでいたのですが、食べてみたら美味しいんですね。あ、こういう美味しいもの知らなかったんだなって、この年になって目覚めたというか。笑

 

余語さん)そういう意味では知らないことが、結構、食の世界は裏側にたくさんあるので。そういうことにこだわった路線と、脱脂大豆を使った大豆ミートの両方をやってますけど、圧搾の方に力を入れています。

 

エシカラ)市場に出ている大豆ミートにも種類があるってことなんですね。

 

余語さん)量販で売られているところだと外国産がほぼ締めていますが私達はどちらかというと自然食品店などに卸させていただいています。自然食品系のお客さんしかそこまでこだわらないので。

 

『かるなぁ』誕生

エシカラ)前に読んだ内容では、このように食べ物にこだわるようになったのはお体の加減から始まったってお話でしたよね。

 

余語さん)おばあさんの時代からベジタリアンなんです。50年くらい前からですね。小学校5年生くらいの頃に我が家がちょっとおかしいと気がつきました。友達の誕生日会の時に初めて焼肉を食べたんですけど、カルチャーショックを受けました。世の中にこんな美味しいものがあるんだと。家に聞いたらどうも我が家はベジタリアンだと。

肉は知ってますよ、給食も食べたし魚も知ってるし。知ってたんだけど焼き肉という食べ方は知らなかったんです、家でやったことが無いので。初めてそこで食べてびっくりして、それから反発してしまいました。僕の時代、マックとかケンタッキーとか吉牛が一番伸びてきた時なんで、中学校の部活が終わると必ず家帰る前にファーストフード食べて、家帰るとちょこっと食べてごちそうさま。ファーストフード世代ですね。

その後、ちょうど21歳くらいの時に、少し体調を崩して血液検査したら白血病の疑いがあると。ちょうど渡辺謙さんが発病された頃なんですけど。当時は治らない不治の病って言われてましたよね。まだ私の場合は悪性か良性かわからない状態で、いつ急性に変わるかわからないからとのことですぐ治療に入りました。いわゆる投薬治療や薬剤治療になるのですが副作用に耐えられなくて、こんな副作用で辛い思いするなら死んだほうがいいと。薬も全部やめました。

たまたま家がそういう家だったのでずっと反発してましたが、血液だったら食生活を変えると治るんじゃないかと思って、わらをもすがる気持ちで切り替えました。

そしたら4ヶ月目くらいで体調に変化が出て、数値が変わってきたんですよ。一年間やってみたら元の正常値まで戻って、元の食生活に戻すかこのままベジタリアンでいくか迷ったんですけど、一年もやってると良さも分かり。

すごい感情面の変化があって。結構アップダウンが激しい性格だったものがスーッと変わってきて、自分でも楽だなって思うようになって。体調もいいし、このままとりあえずやろうとなりました。まだ、21,2歳で若いですから友人との付き合いもあるので迷ったんですが…。

気づいたら55歳になりますが、なんにも別に体調の変化もないし比較的健康でずっといるので。同級生と比べたりするとやっぱり全然体力とか違いますし。なんとなく良いのかなと思っていますね。明らかに僕の世代になるとみんな薬飲んでますし。

 

エシカラ)私は飲んでます、抗コレステロール剤。笑

 

余語さん)それ以来、僕は薬とか飲んだことないです、風邪薬も飲んだことないですし。でも、最近はコレステロール値が高い人のほうが健康だっていうじゃないですか。

 

エシカラ)実際のところどうなのかわからないですが。笑

 

余語さん)栄養学もだんだん変わってくるのでわからないこともありますけど…そんな感じで生活していて、時代もだんだんプラントベースになってきたなぁって。

 

プラントベースミートの技術

エシカラ)私が若い頃に食べた大豆ミートのイメージでは、食べられない感じの味だったというのが記憶に残っています。

野菜や豆が嫌いになったのも当初の美味しいものではないという記憶から、自然とそれを避ける食生活になった経緯があります。

しかし、最近になって大豆ミートを食べるようになったのですが、昔とは全然違って美味しいですね。この美味しさだったら普通に食べられるなと思います。

このような変化というのは、すごく早い感じで味を追求してきたのでしょうか?

 

余語さん)やはり年々技術は上がってきてますね、日本はその面では海外に比べて卓越していると思います。

海外には、ビヨンドミート(※植物由来の人工肉を製造するテクノロジー企業、赤身をえんどう豆・米から脂質はココナッツオイル・ココアバターから製造)とか、インポッシブルミート(※ビヨンドミートと並ぶ代替肉企業で、タンパク質を大豆とじゃがいも、脂質をココナッツオイル・ひまわり油で製造)などの、話題性のあるプラントミートが多いですが、多分日本はこれらを抜くだろうなと思います。

日本人の味覚は繊細だし、パンでも、野菜料理でも何でも美味しいと思うんです、味付けもしかり。

フードテックと言われる、科学と技術とAIなどを融合して食が作られる時代になっていく中で、日本はこれからますます、すごいものを開発するだろうなと思っています。

培養肉の世界も広がってきていますね。培養肉は、牛の幹細胞を少し注射で抜きシャーレの中で培養するという技術ですが、今はまだ100グラムまで大きくするのに費用が3千万ぐらいかかるそうです。でも、あと数年したら普通に買えるくらいの値段になると言われています。

しかし、培養肉はリアルな肉ですから、どうかとは思います。笑

 

ヴィーガンとアニマルウェルフェア

エシカラ)余語さんはベジタリアンから自然食品へ、とお聞きしましたが、

ヴィーガンと聞くと背景にアニマルウェルフェアがあってヴィーガンへという方も多いのではと思います。

動物についての思いはなにかありますか。

 

余語さん)私は動物愛護からなった訳ではなく、たまたま家がそういう家だった事と病気がきっかけになったのですが、当然、ベジタリアンあるいはヴィーガンになっていくと、動物性を食べなくて良かったとはよく思います。自分が生活している中でそう感じることはあります。

具体例として、ペットブームの日本では犬とか猫は食べないですが、海外では食習慣にそれらがあり、その市場を日本人が見て、びっくりして食べられなくなる人もいる。豚も牛も飼えば可愛くなり、そっか、命があるんだと。

人間にはもともと慈しみの心があるので、自分が愛情を注いだものは当然可愛いと思うし、食べたいと思わないので。笑

それが本来の人の心だと思います。例えられるのは川で子供が溺れてるのを見た瞬間にみんな「助けよう!」って思いますね。「あの子を助けたらどれだけお金をもらえるんだろう」って思わないで、瞬間で動くじゃないですか。

それと同じように人間には命を慈しむ心が本来あるので、そういうことに気づいていくと食べなくてよかったなと思います。

動物の世界の親子が引き離され、殺されてしまうって話を色々聞くうちに「あぁ、食べなくてよかったな」っていろんな事を思います。

 

エシカラ)入り方に違いがあっても、その背景にある事を考えるきっかけになるということですね。

 

余語さん)それはありますね。学生でベジタリアン1年目ぐらいのときに友人とたまたま『野生の王国』でシマウマがライオンに親子で襲われるシーンが流れてきて。お母さんは脚力が強いから逃げられるけど子供が捕まっちゃう。親は子供が殺されていくシーンをじーっと涙が出そうな眼で見ている。というところを撮ってるんですが、その時に友人が「余語はいいよね、そういう事してないから」って一言言ったことで、「あぁそうか、おれはそういうことしてないんだ」って。友人は、「僕はこのライオンと一緒だよ、食べてるから一緒だよ」って。「あぁ、そうなんだ」って気付かされたりとか。いろんな事がありましたね。

結果的にはそういうものを搾取してないっていうのは自分も穏やかだし、すごい平和な感じはしますね。

 

エシカラ)私はすごく肉が好きでほぼ肉中心の食生活だったのですが、食の精神面への影響について聞いた時、肉に傾いていくと感情の起伏が激しくなることを知り、それで気が短いのかって。笑

自分なりに納得して…かと言って「さあ、ベジタリアン」ではないんですが、お話を聞いて感情の起伏があった状態から、穏やかになってくというのはなんとなく理解できるかなと思いました。

 

余語さん)それはなんとなく一番感じますね。全然変わりますね。決して怒らないわけではないんですけど、スイッチの入り方が変わってくるっていうか。なんとなく切り替えが早くなる感じですかね。そんな気はしますね。

でも普通は肉中心の食生活が、教育でも当たり前で生活してきているのでなかなかわからないですね。

 

エシカラ)私の場合は豆や野菜に関しては苦手以上の嫌悪感があり食べられなかったのですが、自分で育ててみると違いますね。

食べてみようとかと思える、まさしく食育を受けた感じで食べられるようになりました。それまではれんこん、ごぼう、ナスとか色の濃い野菜の色が汚いからという、ただそれだけの理由で食べられなかったんです。

そういった思い込みみたいなものが無くなって、食生活の大事さがわかりました。

 

余語さん)畜産の世界の解体場に行くと皆さん殆ど食べられなくなるって言います、それくらい大変な世界みたいですね。今SNSとかで見ることができるのでそこから動物愛護になる方は確かに多いですね。

 

エシカラ)くくりを色々作ってしまうじゃないですか、私は肉はだめだから動物はだめ、革製品もだめ、そういうふうに他も受け付けなくなって自分の思い以外のものを受け付けなくなるのは少しどうかなと思います。

 

余語さん)そうですね、今ヴィーガンでもダイエタリーヴィーガンとかエシカルヴィーガンというのがあって、ダイエタリーヴィーガンというと健康面中心です。エシカルヴィーガンは身につける物もすべて含めてという考え方で最近は増えてはいます。アップルレザーやとうもろこしからできた靴などを買って自分が身につけることを楽しむ方もいますね。

 

エシカラ)食生活に関してのヴィーガンについてですが、SDGsが普及することによる変化は感じられましたか。

 

余語さん)それはもう今、一番感じていますね。自分の健康面の色々な要素から入ってくる方がいらっしゃいますけど、今一番多いのは環境面から。日本人はまだそんなにいないかもしれないけど海外はほぼ環境面ですね。

このままいったら肉は食べられなくなる。肉の生産量が減ってくる。肉はどんどん高価になってくる。今、実際肉の値段も上がってきていますけど、これはますます加速してきて食べられなくなる。後、放牧地について考えるとこれから森林伐採はできなくなる。

いろいろな面から考えると、食べるものは植物性のタンパク質に変わってくるというのは統計的にもはっきりしています。人口が1年で1億人近く増えていきますから、あと20年して90億人を突破するとなったら肉ではもう無理ですね。

昆虫食がどのくらい出てくるかわかりませんけど、そういうタンパク質が主流になってくると思います。

 

エシカラ)環境面からとなると、SDGsがベジタリアン・ヴィーガンを後押ししている状況なんですね。

 

余語さん)はい。

SDGsの17の項目のうち4つか5つが食に関することなので、それを見ていると食が中心となって変わってくるとは思っていますね。

エコカーに乗るよりも一人の人が菜食に変えるともっとエコですよ、みたいなことを国連が言うようになってきたので、時代は変わったと思いますね。笑

 

菜食を広める

エシカラ)かるなぁさんはベジタリアン・ヴィーガン商品を作られていて、消費者の方たちに販売するためにどういったイメージを持ってお伝えしているんですか?

 

余語さん)もともとこの会社の始まりは、生協では無いですがベジタリアンのグループみたいなのがあったんですよ。たまたまそのグループに中国の方がいて、その人が菜食主義で料理教室をやっていて、私のおばあさまもそちらに行っていたんです。

その料理教室であった、『素食料理』は中国語で『菜食』という意味なんですが、素食料理会で初めて菜食料理を食べて、すごく感動して「これはいい」と。おばあさんは影響力があったので、家族みんなベジタリアンになりました。

その中国の方は第三の目を開く先生で、そこでネットワークができて最初は仲間でグループ買いというか、多めに材料買ってその仲間で分け合うということをやっていたら、だんだん口コミで広がって行き、商売にせざるを得なくなり、かるなぁができました。

ある意味自然発生的にできたって感じですね。

 

エシカラ)経営とかに走るつもりはなかったのにそうなってしまったっていうのはそういうことなんですね。

 

余語さん)食材がなくて皆さん困ってるので、みんなで共同購入して安く買う、それをシェアするっていうのが始まりです。じゃぁこういう商品ない?ってどんどん作っていくうちに商品が増えました。

 

エシカラ)個人でどこかから仕入れて自分で始めるのは、まさしく自給自足じゃないと難しい自然食の生活かなと思うんですけど、自分が足りないところを誰かが得てくれて、というところがやりやすいのですね。

 

余語さん)そうですね、それがないと成立しなかったでしょう。決してその利益のためにとかそういう感じのスタートではないんですが、会社である以上ある程度利益を出さないといけなくて…そんなに利益利益って感じではなく、今もなんとかやってます。笑

 

エシカラ)これだけの事されてるってことはなにか強い信念があるのかと

 

余語さん)菜食を広めたいってのはずっとありましたね。その思いだけでしたね、「菜食を広めたいなー」という意識はあって、こんなにカラフルで普通に食べられるってことを知ってほしいという意識はもちろん今でもあります。

 

エシカラ)目からうろこでした、こんなに美味しそうなものが肉なしなの?と思いました。

 

スピリチュアルな背景

余語さん)スピリチュアル的な話をすると、いずれお釈迦様が亡くなったあと弥勒(みろく)の世が来ると言われていますが、弥勒の世はいわゆる慈(いつく)しみの世界で殺生したものを食べない時代が来る。ずっと過去から、キリストの時代から、お釈迦様の時代からずっと言われていて、いよいよ弥勒の世に入ったから菜食が広がっていくと言われています。

お釈迦様が亡くなって56億7千万年後に弥勒が救世主として現れる。56億7千万というと随分まだ先の話ですけど、56億7千万を人口の数と捉えると、現在が77億だから今から10年20年前から弥勒の世にシフトしてきていると。

弥勒は菜食の神様なんです。前世は布袋様、弥勒様はいろんな姿で生まれて来ていますから。有名なのは京都の広隆寺の半跏思惟像という女性的な弥勒菩薩のお姿のときもあれば、布袋様みたいな時代のときもある。弥勒菩薩はとても人気があり女性らしい姿で慈愛に満ちています。この姿がウルトラマンのモデルなんです。光の国からやってきた弥勒さまがモデルなんです。怪獣は煩悩です。煩悩を仏である弥勒がやっつける。

円谷さんは仏教にとても精通してたんですね。いずれ弥勒の世が来るというのも知ってたからウルトラマンという一つの救世主を作ったんです。

最後の姿は弥勒古佛といいまして、いわゆる布袋様の姿です。布袋さまが亡くなるときに弟子に私は弥勒の生まれ変わりだったと伝えたので最後のお姿は布袋様のお姿に似ています。弥勒とはサンスクリット語でマイトレーヤといい、「慈しみ」を意味しています。弥勒の時代がきたということは、慈しみの時代が到来という意味です。

ヴィーガン、ベジタリアンは新しくできた食文化ではなくて、佛教、キリスト教などの五大宗教が成立する2000年以上前からも実践されていた食事であり、人にとって最も最適な食事だと思います。

 

エシカラ)多くの事柄のバックグラウンドを掘り下げていくと、仏教などの宗教に行き着くことは多くありますが、菜食はその宗教が成立するはるか前から実践されていた食事なんですね。

カタログを拝見すると、大豆ミートにもいろんなタイプがあるようですが

 

かるなぁの大豆ミート

余語さん)大豆ミートを料理によって使い分けてもらう感じですね、形状が違いバラ肉型ならば生姜焼きや焼き肉のたれで味付けする、佃煮・チンジャオロースーに使うなど、ミンチ型はひき肉料理、手羽先型などは炒め物に使うとかですね。

最近はお湯で戻すのがめんどうという方がいらっしゃるので、お湯で戻してあるタイプもあります。封を切ればそのまま使えるタイプですね。大豆臭も取ってあるのでサラダの上にどかっと乗せてごまドレッシングかけたらバンバンジーのようにできたり。もちろん炒めてもらったりスープに入れてもらってもいいです。

原料も大豆だけ。脱脂大豆じゃないです。添加物とかもないですね。なにも入れていないです。レトルトなので袋の中は窒素を充填しています。

 

インタビュー後記

かるなぁ余語さんとのインタビューは1時間に及ぶ長さでしたが、多岐にわたる内容のお話は短い時間に感じました。
「かるなぁは周囲のために、自然発生的に生まれた」という言葉は余語さんのお人柄から、とても説得力のあるものに聞こえました。
菜食に戻ってから、55歳の現在まで薬を飲まないで過ごされていることは事実として素晴らしいことだと思います。
自家菜園で作った野菜と、かるなぁさんの大豆ミートでエシカラのNOミートディは増えそうです。

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