教えて!インタビュー 『ひょうたんカフェ』三島さん

教えて!インタビュー 『ひょうたんカフェ』三島さん

教えて!インタビュー 『ひょうたんカフェ』三島さん

2022年10月13日訪問

名古屋市中村区のひょうたんカフェさんは平成18年、「障がいを持つ方々を中心として、地域のさまざまな人たちが出会い交流する中で、お互いを認め合い、人とつながりあう喜びを感じられる社会づくりに寄与する」ことを目的に設立されました。WEBサイトはこちら

現在は障がいを持つ方々の日中活動及び就労の場としての「多機能型事業所デイセンターひょうたんカフェ」と障がい者ヘルパー事業所「ヘルパーセンターらいぶ☆YOU」の2つの福祉サービス事業の運営を通じて地域の社会資源としての役割を担いつつ、「障がいのある方々の力を社会に生かし、発信していく」という活動ミッションの遂行を目指して活動を行っているそうです。

 

ひょうたんカフェという名前の由来は、太閤秀吉の旗印であり、中村区のシンボルマークでもある「ひょうたん」を法人名に冠し、また「カフェ」のようにさまざまな人たちが集まりながら誰もが自分らしく過ごせる場所であって欲しい、という願いをこめて「ひょうたんカフェ」と名付けたそうです。(WEBサイトより)

 

エシカラはこのインタビューの少し前に名古屋市本山の雑貨店てのりさんで開催された「たま織りワークショップ」に参加して、ひょうたんカフェの一員であるたまちゃんからたま織りを教えてもらいました。

たまちゃんが織る円形の織物はとても繊細で素敵な色彩感覚が表現されています。隣で見たたまちゃんの制作している様子は、μ(ミクロン)の糸を操る天使の様でした。

その感動が冷めやらぬうちのインタビュー、たまちゃんにも会えたのでたまちゃんの話から始まりました。

エシカラ)たまちゃんは専門で丸織りをされていますが、誰が何に向いてるかというのは職員の方たちが探すのですか?

ひょうたんカフェ三島さん)「一緒にやりながらいきなり」ということはないです。養護学校を卒業してこられてる方がほとんどで、2年生3年生の段階からここへ何回か来ているので、その時にいくつか織りや絞りをやっていただいてスタッフが見させてもらって判断します。

又、この方はこういう特性があるからこういうの得意かな、というのはスタッフで話したりしてやっていただいたり、新規で絞りの部門を立ち上げる時などは「この方最初からこっちやってもらおう」と提案させていもらう事もありますね。

NPO法人の立ち上げ

エシカラ)織物をはじめたのはどのくらい前からですか?

ひょうたんカフェ三島さん)15年以上前なのかな。立ち上げはFLAMEの井上愛さんです。僕は後からなので、最初の彼女の思いでどうだったかは詳しくわかりませんが、彼女が前務めていた所で「障がいをお持ちの方がこんな素敵なものを作れるんだ」と衝撃を受け、そこから個人で始めて、ご希望者が増えていきちょっとずつ事業を大きくしてNPO法人を立ち上げて形になっていったという。一人の方の織りから始まっているんです。

エシカラ)FLAMEは豊山町ですよね?そちらでも新しく始められていますね。

ひょうたんカフェ三島さん)1年ちょっと経ちましたね。6月で1年になったので。彼女は違う法人を立ち上げていますがひょうたんカフェの理事なので月に1回とか来て相談乗っていただいたりとか商品に関してもアイデアを出していただいたりとかそういうことは継続的にやっています。

エシカラ)FLAMEはダーニングとかしてらっしゃいますよね、やってみたいなと思っていました。

ひょうたんカフェ三島さん)刺繍機とかミシンとかの専門にやってる方が月に何度か来て、専門の方の中で利用者の方が一緒に作っているという場所ですね。

エシカラ)共通しているのは手作業ということですね。

ひょうたんカフェ三島さん)そうですね、そこからなにか新しいもの。FLAMEさんは実験的な事にもチャレンジしながら。どうやったらできるかな、どんな素敵なものがあるかな?と、行くたびに変化していますね。

ものづくり好きが集う施設、ひょうたんカフェ!

色とりどりの糸に囲まれたクラフト班

エシカラ)いろいろな種類の糸がありますね。

ひょうたんカフェ三島さん)太さが違ったり、キラキラとか、こういうのは一宮の尾州の何本も糸を撚(よ)ったファンシーヤーンと言います。又、価格帯が高い一宮の尾州の糸を使ったりとかも。ひょうたんは基本的に自由に自分の好きなように織っていくため、組織織りの規則的なところとは違いがあります。商品としていろいろなモノを打ち出していく中で。

単純に利用したいというだけでなく、見て体験して、これやってみたい、こういう物作ってみたいというのがあるかもしれないですね。これを織ってる彼女(写真の中の女性を指して)は、織りがしたいと8年くらいやられています。嵐が大好きだから嵐5人のイメージカラー5色で織っています。本人がやりたいということで。難しいけどやれるかな?って言ってたけどできちゃったというものです。組織的に千鳥格子に織っているんですが。

嵐織のバッグと織られたありささん。5色の色を使って織られています。

エシカラ)柄が複雑すぎて、どう織ってるか全くわからない。

ひょうたんカフェ三島さん)僕もそこはわからないですが、今回は松潤カラーで織ってるようですね。織れてしまうんです。

やりたいことにチャレンジができる

ひょうたんカフェ三島さん)この絵を描いた方は小さい頃からずっと絵は家でも描かれてるみたいです。その時々でテーマが違うんですが、午後からはたくさんのコピー紙に好きなだけ書いてもらう、アトリエのようになっています。作品展に出すから描いてくれる?って頼みながら書いていただいたりとかしてます。

エシカラ)カバかわいい! ライオンキングのキャラクターですね。

ひょうたんカフェ三島さん)多分観にいったんですね。そういう何か特別なことがあると印象に残ったものの絵を描いていますね。ウルトラマンが大好きで、いつもウルトラマンのフィギュアを持ってきて並べて描いてます。

エシカラ)そのような個性を引き出すのがお上手だってことですね。職員の方たちが。

ひょうたんカフェ三島さん)できる限り得意なことをやっていただいているってことですね、ここへ来る段階で。ものづくりを中心に社会や地域に発信して、つながりを持ちたいという考えもあるので、基本的にものづくりが好きな方に来ていただいているっていうところも少し他と違うところかもしれませんね。

ひょうたんカフェ三島さん)SNSも発信してますが、皆さんの思いからです。特に月末の放送局はインスタライブですが、皆さんの思いからチャレンジしています。30分枠で毎月やったり。

お悩み相談をやりたいという方がいて、施設内で皆さんの悩みを書いてもらったものを読んで、解決までは行かないけれけどライブで答えるとか。みなさんがやりたくて、少しの努力でできる、そういうことをすぐ実現することはチャレンジしながらやっていますね。

好きなときに、好きな施設で思い思いに。特色豊かな施設

エシカラ)バナナペーパーとか色々されてる清穂会さんという岐阜の就労支援施設に訪問したのですが、各施設ごとに特性を持つというのは大事ですね。特性があれば社会ともつながりを持ちやすいという事でしょうか。

ひょうたんカフェ三島さん)いろんな形があり、それぞれであることで、だんだん変わってきていると思うんです。昔は「施設に行って一日過ごせれば」というのがあったかと思いますが、今、特に名古屋市内は色々な施設ができていて、特色が色々あり、みなさんがこういう事やりたいからこの施設、など曜日ごとに通う施設を変えるというニーズもあるんです。本当に変わってきていると思います。

「ずっとここだけ」ではなく、曜日によって違う所を利用して。何曜日はひょうたん、ひょうたん来たら何か作る、そういう方が増えてきています。特徴があったほうがよりいいと思いますね。選ばれるのもそういう事があるかなと思いますね。だから「ここに来たい」とか「近い」だけじゃなくて「◯◯がやりたいから」。ということです。

エシカラ)たとえ障がいがあったとしても、自分の好きなもの選び作っていくというような意識が持てると社会に対して発信する力となりますね。

就労支援・生活介護について

エシカラ)今こちらを利用されてる方は何人くらいみえますか?

ひょうたんカフェ三島さん)契約と実際に利用というのは少し違いますが、多い日だと28人くらい。日中活動支援事業として生活介護事業というのと就労継続支援B型事業というのを2つやっていまして、各事業一日15人,15人の30人定員で、現在の多い日は各14人ほど来られていますね。少ないと10,10の20人になる日もありますが。

エシカラ)就労支援の枠組みと生活介護の違いというのはどういう違いなんですかね?

ひょうたんカフェ三島さん)生活介護事業というと、その人が一日来てその中で好きなこと、こちらが提供できることに限ってしまうんですけど、1日そこでなにか活動して過ごしていただいたり、あとは介助です。排泄・食事などの介助をして1日過ごしていただくことという事が主になり、生産活動的なものも提供させていただいたりしています。

エシカラ)その中に織物なども入ってくるんですね。

ひょうたんカフェ三島さん)そうですね、生活介護事業の中にもあります。

エシカラ)就労支援にも織物などで仕事を得る道を模索しているのですね。

ひょうたんカフェ三島さん)就労の方だとより就労的な体制で、午前・午後も織りを担当している方に織りをやっていただいたり、午前は何か織りをするけど午後は違ったプログラムで作業して頂くなど、そういうことをやっています。

生活介護だともっとゆるい感じですね、1日youtube見てる方もいれば絵を描いてらっしゃる方もいたり、織りをしている方もいれば、SNS発信のyoutubeの職員の撮影に出演している方もいたりとか。生活介護は幅がもっと広く、作業に特化するというわけではない形ですね。

エシカラ)生活介護を受けている方たちは、先に就労目的があるわけではないけれども、こちらに通うことによって自分のやりたいことが織物のときはそれをやっているということなんですね。例えば織物を覚えたとします、そうしたら織物をお仕事にされる方はいらっしゃるんですか?

ひょうたんカフェ三島さん)就労継続支援B型事業に関してはこれが仕事といいう感じです。

エシカラ)他に就職ではなくて?

ひょうたんカフェ三島さん)違います、就労継続って、名前がややこしいかもしれませんが、雇用契約を結ぶことが難しい障がいを持つ方、だけどそういう事も目指すというとあれですけど、事業として学ぶことがあったり、提供させていただきながら生産活動をやって工賃も得られるという。

エシカラ)それがここの場所から出るわけではなく、ここでやるということなんですね。

ひょうたんカフェ三島さん)ご希望によって違います。他を希望されずにここでの作業をやりたいという方もいれば、より工賃がほしいので他に行く方もいます。又、それで一般就労を目指したいという希望もある方もいますし、一般的ではないけどもう少し工賃がもらえる違う事業所を目指したいという方もいらっしゃいます。

エシカラ)そのあたりは別に本人の意志次第で、規則があるとか拘束されるとかそういうことはなくやっていくことができるんですね。

ひょうたんカフェ三島さん)希望とマッチするかどうかというとこがございますが。期限に決まりはないので、就労継続支援B型について国の方針が変わってくれば別ですけど、10年以上いらっしゃる方もいれば1年で違うところに行かれる方もいらっしゃいます。

エシカラ)こちらには織物などのクラフト班、階下にはドーナツやお豆腐を作るフード班があるのですね。

ひょうたんカフェ三島さん)同じ就労継続支援B型っていう枠組みの中であります。

エシカラ)ドーナツを作る班とかクラフト班に分かれるのは個人で希望されたということなんですね。

ひょうたんカフェ三島さん)最初に希望があった場合もありますし。こちらからやってみない?と持ちかけることもあります。特に食べ物に関することだとこちらからお誘いしてるところはありますね。もっと織物だけじゃなくて食べ物の方でもやってみない?っていう。それでもうちょっと工賃アップ目指そうかと。

エシカラ)織物のほうが人気なんですか?

ひょうたんカフェ三島さん)ひょうたんカフェっていうと『さをり織り』というか、織物というイメージが凄くありますね。ドーナツもだんだん認知されています、昔から作っているので。

エシカラ)私の中ではひょうたんカフェさんがイベントなどに出店されてる時には、ドーナツを出されてるのでドーナツというイメージでした。

ひょうたんカフェ三島さん)ありがとうございます。イベントとか販売だとドーナツは強いかもしれないんですけど、養護学校とか学校系だと織物っていうのが強いかもしれない、先生方のイメージかな。

支援区分の問題点

ひょうたんカフェ三島さん)この方が“嵐“織りをやられている方ですね。ありささん。

エシカラ)ここまでできる方は就労支援の方での作業ですか?

ひょうたんカフェ三島さん)就労支援というところの枠組みがまた別で…僕らが決めるわけじゃないので。障がいのサービスで障がいの支援区分というのがあって2,3,4,5,6といって6が一番重いんですがたくさん支援が必要になりますよという区分で、この生活介護だと区分が3,4,5,6の方が利用できる。支援がそんなに必要ないですという方に関してはここが利用できない。

生活介護というのはそういう縛りがあります。厚労省の方の。B型はそれが区分とか関係なく障がい手帳を持ってらっしゃれば利用できるというところがあります。区分が3とか4であっても就労継続支援B型を利用できるので。支援の区分というものに関してでは、そこで測れないという区分では4という支援が必要な方という方でも希望があってBを利用したいということであればBを利用されてますし、区分がない方もBを利用されてたりという。僕らが決めれないというとあれですけど、ご希望があって手帳を持ってらっしゃって、ここのやりたいことがマッチすればご利用頂くという形ですね。

エシカラ)区分付けというか段階付けをするのはもちろん役所の方にマニュアルのようなものがあるのでしょうが、人の作業です、そのような区分というのは正しくというか、適正にされてると思われますか?

介護保険のことですが「それだけ大変なのにそんなに介護度低いの?」と思うことが時折あります。そういうことが障がい者の方にも起こることはあるのでは?

ひょうたんカフェ三島さん)起こっていると思います。支援の区分認定調査というのはあるけど調査の仕方、する方とか場所とかもあったり、医師の意見書もありますけどそこによっても変わってくるというのは実情だと思います。おっしゃるように、あの人の区分は◯◯なのにって、なんかなーということはやはり。

エシカラ)私の弟も下肢が動かせず車椅子の生活を送っているので、その関係で色々な障がいを持ってる方とお会いするんですが、時折聞くことがあります。「こんなに介護度が軽いんですよ」とか、介護する方たち絶対大変だと思うのに介護度が低ければそれだけの報酬しかいただけない、そういった介護の方たちのストレスをお聞きします。判定は人が判断するものなので、感覚の違いとかはあるでしょうが、そういうのが是正されないと介護される方たちも大変なところがあるのかなというのがあります。

ひょうたんカフェ三島さん)あります。事前に対象の方とお話したりとか施設とかでたまに認定調査があるときは確認させていただいたりということもありますね。

本人さんが自分の思いを伝えることが苦手な方とかであれば、じゃあ聞かれた場合はこういうふうにと、親御さんにご相談させていただいたり。親御さんの場合お家の姿だとこういう姿があるけど、こっちでは違うよという事もあります。なので、そこは違うんだけど、ここの場合はこういうふうにお伝えさせていただきますとか、そういうお話はさせていただいて、認定調査というのに挑むということはありますね。

施設での判断とお家とかってので全然違って、お家のことだけで判断されてしまうと変わってきたりとか。支援の視点というんですかね、そういうのも入ってきたりで違うというのは実際ありますね。

分けられた環境が作りだした関わりづらさ

エシカラ)一般の方にはオープンにされてるんですか?見学可能とか。

ひょうたんカフェ三島さん)そうですね、事前に今日のようにお話いただければ見学もですし、ボランティアも受け入れさせていただいています。実習生が来たりいろんな方が出入りすることはしていこうと思っていますね。

エシカラ)施設のイメージで、開かれていたとしても足を踏み入れづらい方が多分多いと思います。私は65歳ですが、私達の子供の頃というのは社会で見かけることが少なかったです。家の中で過ごされている方が多かったと思います、障がいを持っている方は。いざいいですよ、見てください、一緒に過ごしましょうと言われても戸惑ってしまう部分があります。

エシカラ藍)私はアメリカの中学校に通っていましたが、学校で障がいを持つ人たちも一緒に授業を受けていました。そういう感じのほうがいいと思う私は。日本は分けて、関わりづらくしてるだけですよね。

ひょうたんカフェ三島さん)よくインクルーシブっていうね。
※インクルーシブ=排除的・排他的、一部の人を外へ追い出す・のけものにするという意味

エシカラ)ずっとその歴史があります、日本の場合は。私達の頃は養護学級と言って完全に分けられていましたから。

ひょうたんカフェ三島さん)ちょっとずつですよね。今は、30年くらい前までは障がいとは言われなかったようなことも発達障がいという形で名前がついて、その児童が一般学級で過ごすとかはお聞きするので、学校の中でも。少しずつは変わってきてるところはあるのかなとは思いますけど。やはり入りづらいというのは聞きます。実際に。

エシカラ)門戸の開き方みたいな、そういうのが日本の場合は必要なのかなって思います。

ひょうたんカフェ三島さん)他の施設さんのことは私も存じ上げないとこがありますが、カフェって言っていますので、知らずに来られる方とか「なにやってますか?コーヒー飲めますか?」って来られる方はいらっしゃいますね。ただ最近はコロナでお客さんもなかなか来ない状況もあったり、違う売り方もしていく必要もあったりで、今はテイクアウトという形を主流でやらさせていただいています。

エシカラ)カフェという形だと一般の方でも入りやすいところがあるんですね。

ひょうたんカフェ三島さん)知らずに来る方もいらっしゃるので。

エシカラ)他に『エシカル、ここから』を置かせていただいているコルポさん、カフェアイリスさんというところがあるのですが、洋菓子屋さんとカフェを障がいを持つ方たちがサービスされています。そういう場所だと知らず知らずのうちにコーヒーを飲むことで触れ合うみたいな、そのような形はやはり社会の中に溶け込みやすいですね。

ひょうたんカフェ三島さん)思います。知らずに入ってきた方は、こんなのもあるんだ、と言ってクラフトの商品も見てくださったり手にとって頂いたり、様子を見ていただいたりということはやはりありますね。

エシカラ)そういうのを意図して「カフェ」とされてるんですか?

ひょうたんカフェ三島さん)もともと名前つけたのはみんなが集えるような場所でということでカフェっていう名前はつけましたね。ひょうたんというのはここの中村の太閤さんというのがもともとひょうたんが。そこでひょうたんというのと、みんなが集えるようにカフェ、つなげてひょうたんカフェという名前に。

エシカラ)来られる方の地域っていうのはこの近辺だけになりますか?

ひょうたんカフェ三島さん)今年から月に一回、土曜日に月イチワークショップというのを初めて、近隣だけじゃなく名古屋市内の方が多いんですけど名東区とかの方から来られたりとか、調べられて。

名古屋市じゃなくてあま市とかから「土曜日で休みの日に来たかったんです」という形で来られる方もいらっしゃいますね。遠いと最近はあまりないかな、以前は東京の方からとかもいらっしゃいました。東京の吉祥寺にマジェルカさんというお店があるんですが、うちの商品取り扱ってくださっています。そこで見て、ぜひ来たかったんですと言って来られた方とかもいたり。

エシカラ)私達もたまちゃんのワークショップに行ったんですが、ワークショップを始めるきっかけはなんだったのですか?

ひょうたんカフェ三島さん)始めたのは井上が始めたこともあるんですが、私の思いとしては利用者の方に教えるまでもなく、技術的にもう持ってらっしゃる方もいるのでその方の力を発揮して頂くというか、教えられる側じゃなくて教える側にも回ってほしいというのと、いろいろな方とも接して、いろんな方にも知っていただける、障がいのあるなしじゃなくて、そういうことで、たまたまこの方はそうだったんだね、と気づく。そういうきっかけにもなると考えました。

特に織りは、見ると「やってみたい!」という方がいらっしゃるので、そういうきっかけで来ていただき、そこでひょうたんのことを知ってもらうという思いです。

ひょうたんの利用者の方も、商品も全部っていうのがワークショップの良さかなと、雰囲気も含めて。

介護や支援の道を選ばれたきっかけ

エシカラ)少し個人的なことをお聞きしたいんですが、このような介護や支援の道を選ばれたきっかけみたいなものはありますか?何か特別な思いなど

ひょうたんカフェ三島さん)昔から福祉の方に惹かれるところがあって、ボランティアに学生の頃から年に1回か2回、なんか無性に行きたくなっていました。もともとは違う道に行ったのですが、それがひっかかるようになった時に、アメリカのエリザベスキューブラロスさんという方の本に出会いました。

余命が短い方の治療をしている方の本を読み、そこから最後の人生に関わる、その人のより良い人生に携わりたいなぁ、という思いがあり、そこからですね。福祉の道をやってみたいという思いから勉強して、ボランティアで障がい施設関係の所行った時に楽しいなって。

自分がみなさんと関わる中で、障がいがあろうがなかろうが、色んな感情や思いがみなさんにあって、言葉じゃなくても伝わる所とか、本人が言わないのでわからないこともありますが、自分の中に感銘を受けることが多々ありました。魅力というんですかね。それがずっと続いて今に至るというのがあります。

結果的に人生に寄り添うというんですかね。その人が一日良かったなぁとか。すごく楽しかったなぁでもいいんですけど、そういう人生に携わるという意味では医療も全部一緒というのは勉強している時に思って、今もそういう形で皆さんに携わっているっていうのが僕の続いてるところかなと思います。

エシカラ)私達からすると、なにかしてあげたいとは言え手段というかアプローチの仕方がわからないという部分があります。アプローチの仕方の知識を持ったほうが良いと思われますか?

ひょうたんカフェ三島さん)答えになるかわかりませんが、僕は結果的に学校に行って学んだという身ではあるんですが、思いのほうが。学んだからって、違う道に行かれる方もいらっしゃるので。

あなたならどうする?こんなとき!

エシカラ)実体験ですが、目が不自由な方が杖を持たずに歩いてらっしゃって、離れたところで杖を持ってる方が休んでいる間に動いたようで「あっ」と思って手を掴んじゃったんです。「危ない!」と。そしたらすごい怖がられてしまって。とっさだったので私も「だめ!」みたいな感じになってしまって。

目の不自由な方の怖さっていうのがわからない、無知なところで行動に出てしまったんですが、して良い行動、避けたほうがいい行動というのは、ある程度一般の人でも知るべきなのかなと思いました。

目の前に障害物があってとっさの行動になってしまったんですが、すごい怖がられたことで逆に悪い事してしまったなと思いました。。

ひょうたんカフェ三島さん)それは仕方がないですよ。

エシカラ)あ、ああああ!って言って、手を出してしまいました。

ひょうたんカフェ三島さん)命に関わることでとっさにしてしまうということはあるかと思います。でもそういう行動ができたことが素晴らしいと思いました。その状況だったら仕方ないかもしれないですね。

エシカラ)「止まって!」という言葉のほうが良かったのかなと思いました。そのことで色んな経験させてもらったんですが。

ひょうたんカフェ三島さん)いかんかったなって思いをされてるかもしれないですが、逆にそれだけ色々配慮することとか考えていただけてることで僕は素晴らしい学びをされたんだと思いました。

エシカラ)なにかをしてあげたい、と思ってもそれ以降ちょっと引いちゃうところがあって。考えなきゃいけないのかなっていうのがあって、危険な時ではなくても、例えば何かしてあげたいと思った時、手伝いたいと思った時に、果たしてこの人は私の助けを必要としているのかどうか?という判断がつかない時とかはどのようなアプローチをしたらいいのかなって。そういうようなことを多くの方が知れば、より障がいを持つ方が外に出やすいのかなって思いました。

ひょうたんカフェ三島さん)ちょっとずつですね、学校とかでも昔ほどではなく支援学級などもできて、僕らが小さい頃とは違った環境になっているとは思います。同じように知識というかしってるからこそ引いてみてしまうことは多々あります。何か障がいを持ってらっしゃる方なんだろうな、とは思うんですが、見守っちゃいます。大丈夫かな、とかって。

エシカラ)なにかしてあげたいと思ってもしないほうがいい時はありますよね。その判断をやはり自然にわかるような社会が必要なのかな、って私は思っていて。自分が無知でしてあげられない部分や、してあげたいのに良いのか悪いのか判断がつかないのは多分、接する機会が少ないからだと思うんです。

一般の方がわかりやすい形の、障がいをお持ちの方へのアプローチの仕方などのアドバイスがあったらお聞きしたいんです。

緊急事態以外は見守る

ひょうたんカフェ三島さん)アドバイスですか。困ってそうだなっていう姿、明らかに分かればお声をかけてもいいんだろうなと思います、周りに支援される方がいなさそうだなっていうのが分かれば。障がいによって逆に、先程おっしゃったように近づいてなにかする事でパニックになっちゃう事も。複数人がいいのかわかりませんが見守りはまず必要ですし、何か危険がないか、配慮すること。そこはやはり配慮ある社会になるといいなと思います。みなさんへというと、国とか市町村が障がいを持つ方への配慮で法律とか作ってはいますがまだまだ認知が足りないというのが本音です。

エシカラ)例えば冊子とか言葉とかいろんなことを並べられてもやはりいざ実際の行動をできるかと言えばできないと思ったりもします。先程おっしゃった「まず見守ることですよ」ということが最初のアプローチとしていいでしょうか?

ひょうたんカフェ三島さん)自分の場合はそうなりますね。

エシカラ)まず声をかけるより前に様子をしばらく見守るというのが大事。

ひょうたんカフェ三島さん)全くわからない方の場合、先程の緊急事態は別かもしれませんが、見守らさせて頂くことはありますね。知ってる方だったら声掛けさせていただきますけどもちろん。そうではない場合は基本的に見守って誰か支援される方が周りにいるのかいないのかとか、あとは危険なことがないのかということは、僕は見守っていますね。職業柄かもしれませんが。地域にそういう方がいるっていうことはもっと身近になればということなのかなと思いますね。いらっしゃるけどなかなか会う機会がなかったりとかいうことも。そういう意味ではこういう施設っていうところは意義があるんだろうなというところです。

エシカラ)なるほど。

 

三島さんから読者の方に考えていただきたいこと。「障がいって、なに?」

エシカラ)現在ひょうたんカフェさんにエシカラの『エシカルここから』を設置していただいています。エシカラは障がいをお持ちの方々の生活を多くの方々にもっと知っていただきたいと考えています『エシカル、ここから』を通して読者さんに伝えるとしたら、何かありますか?

ひょうたんカフェ三島さん)「障がいってなんだろうな?」というところですかね。ここで仕事をしているというのもあるかもしれませんが、1対1の人と人との関わりなんですね。障がい云々というのではなく、その人の個性というか、そういう方、「AさんならAさんという方と接しさせていただいている」ということが大きいので、知らない方からしたら見た目でどこどこに障がいを持つ方、というふうに見てしまうかもしれないが、同じ人だというところです。「障がいというのはなんだろう?」というのを改めて考えていただく。

僕もですが眼鏡がなければ生活できないです。それも障がいになりますね。皆さん「障がい者」と言われたりすることがあるかもしれませんが、その人にとっての生きづらさ、障壁というところを取り除くことを、改めて考えていただけるきっかけというのになればと思います。

 

[インタビュー後記]

名古屋市の中村公園に程近い閑静な住宅街の一角にある「ひょうたんカフェ」さん

少し探しにくい場所でしたが、近くに行くと張り出した木造ポーチが目印になっていました。

扉の奥には明るく広々とした作業?介護?ルームがあり、通路にはドーナツ・織物などのグッズがめいっぱい並ぶ、障がいを持つ方々の施設のイメージでは無い空間がありました。2階には織り機や織りあがった作品などがたくさんあり、たまちゃんにはここで再会しました。

たくさんのお話をして特に印象に残ったのは「障がいってなんだろう?」と問いかけたいという言葉でした。

私たち健常者と区分される人でも、一過性ならば骨折したり怪我をしたり、病気になって行動に制限を抱えることはあるはず。その行動を妨げる障壁を取り除くために必要な力は?と考えてみたら。。。私たちに必要なことが見えてくると思います。

日本におけるインクルーシブの歴史を払拭するのには時間が必要だけれど、私たちにできる小さな行動がこれからを変えていくのだと考えます。

取材にご協力いただいたひょうたんカフェの皆さん、ありがとうございました。

 

エシカラ 眞坂 治子・

 

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