ゼロ・ウェイストな暮らしに目覚めて
こんにちは。エシカラ編集部のぐれ子です。3LDKの狭めなマンションに、夫と娘(3歳)の3人で暮らしています。
もともとシンプルな暮らしに憧れていたり、貧乏性ゆえに長く使える物の選び方に興味ありました。
ひょんなことから、まさかりさん率いるエシカラの活動をお手伝いさせてもらうことになり、勉強用に貸してもらった本に衝撃を受けました。
恐らく超有名な、ベア・ジョンソン氏の「ゼロ・ウェイスト・ホーム: ごみを出さないシンプルな暮らし」です。
家族4 人が1 年間に出すごみの量がガラス瓶1 本分(= 1 リットル)という、驚異の「ゼロ・ウェイスト(ごみを出さない)」生活を続けている著者。そのクリエイティブな工夫を紹介する、実践ガイドの日本語訳版です。「ごみの分別先進国」と言われる日本でもシンプルな生活や生き方が話題となっている昨今、環境問題やリサイクルに意識的な方のみならず、大きな注目を集めているテーマです。モノを減らせばごみも減り、環境的・経済的にも大きなメリットが生まれる。本当の豊かさとは?快適な生き方とは?「断捨離」「ミニマリズム」のさらに一歩先を行く、持続可能でシンプルな暮らし方の提案のみならず、人生で大切なことや見つめ直すべきことに気づかせてくれる一冊。先進的で洗練された暮らしぶりも必見です。
引用元:amazon「出版社からのコメント」
モノの選び方次第で、ゴミって、ここまで減らせるのか!
と、ものすごい衝撃を受けるとともに、これこそ私が実現したかった暮らし方だ!と思いました。
ところが、ゼロ・ウェイストな暮らしはコンポストありき
ところが、本を読み進めるうちに、「やっぱりうちでは無理かも…」と思えてきました。
作者の自宅は一軒家で、庭にコンポストがあるのです。
このコンポストで分解できるか否かを基準に、モノを選んでいる様子。
「コンポストで分解できる=自然に還る」という理屈です。
しかし我が家は小さなマンション。ベランダのスペースも決して広くありません。
マンションでコンポストなんて無理!!
私の実家は田舎なので、庭に埋め込み式のコンポストがあります。よくある緑色のプラスチックのやつです。
一般的なコンポスト
実家にあるのはこんな感じのコンポストです。大体「コンポスト」と聞いてイメージするのはこういった土の上においたり、埋め込んだりするタイプかと思います。
実家では、台所の勝手口から生ごみを持ち出し、ここへポンと放り込めばOK。
ただし、時期によってはなんとも言えない酸っぱい臭いと、大量の幼虫が湧きます。成虫になるのはそんなに多くないみたいですが、ベランダでこれをやるとしたら、ご近所さんからの苦情必至。
==追記20191013==
一般的なコンポストも、セオリー通りに使用すれば、虫や臭いは出ないようです。ぐれ子の実家に置いてあるコンポストは前述のような状態ですが、すべてのコンポストで虫や臭いが発生するわけではありません。
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本で紹介されていた「ベランダdeキエーロ」も、意外に大きいし作る手間が…
「ゼロ・ウェイスト・ホーム: ごみを出さないシンプルな暮らし」の中では、各種コンポストについても翻訳者の服部雄一郎さん(この方の連載も非常に面白く、ゼロ・ウェイストを目指す方は必見です。)がまとめてくれていました。
その中で目に留まったのが、「ベランダdeキエーロ」の文字。
「ん?!ベランダって書いてある!ベランダでもコンポストってできるのか?!」
そしてその説明書きには「臭いなし・土は増えない」と、なんとも魅力的な言葉。コンポストといえば臭くて大量の堆肥ができるイメージだったので、始めは理屈がわかりませんでした。
さっそく調べてみると、以下のサイトに行きつきました。
キエーロとは、もともとは「バクテリアdeキエーロ」という名称。神奈川県の三浦半島にある葉山町のご夫婦が考案した、土と太陽と風の力を借りて生ごみを分解するというコンポストです。
従来の生ごみ処理コンポストの悩みである臭いや虫の問題を解決した、夢のようなコンポストなんです。
でも、こちらのサイトで紹介されている「ベランダdeキエーロ」は幅90cm×奥行45cm×縦80cm…まあまあでかいよね…ベランダの掃き出し窓1枚分くらいの幅はあります。
やっぱりダメか…と思いつつ、「マンション コンポスト」で検索すること数時間…
ありました!マンションで快適に使える小さなコンポスト!
前述の「バクテリアdeキエーロ」「ベランダdeキエーロ」の仕組みを利用した、とっても小さなコンポスト!その名も「ミニキエーロ」!!

どこが発祥かはわかりませんが、日本の様々な自治体のホームページで紹介されたり、実際に市民の方が使ってみたモニター事業の結果がUPされているではありませんか!
見た目や機能については国立市のホームページがわかりやすかったです。
プランターと木材、プラスチックの波板だけで入れ物は完成してしまうという、最高にお手軽なコンポストです。あとはそこに黒土を入れるだけ。
これはもう、作るしかないやつ。
さっそく「ミニキエーロ(簡易版)」を作ります
「(簡易版)」としたのは、各自治体で紹介されているミニキエーロよりも安価な材料を使っている+簡易な作りにしているためです。

自治体で紹介されているミニキエーロは、プラスチックの波板を使って丈夫に作られているのですが、私は新たにプラスチックごみを増やすのに抵抗があったため、自宅に余っていた養生用プラダンを流用しました。
蓋の透明度が低いので、もしかしたら冬場の土の温度に影響があるかもしれませんのでご注意ください。
ちなみにプランターのサイズも、各自治体で紹介されているものより小ぶりだと思います。処理したい生ごみの量によっては、もう一回り大き目が良いと思いますので参考程度にご覧ください。
また、環境を考えるのであればプランターはプラスチック以外の物を選びたいところですが、このサイズになると近隣のホームセンターでは選択肢がありませんでした。木製や、素焼きの鉢で大きなものがあれば使えるかもしれません。
用意するもの
材料
- プランター(深いタイプ)幅51cm×奥行32cm×高さ26cm
- 木材(厚さ2cm~4cmくらい)プランター幅の長さで3本
- 蝶番(とセットのビス)2個
- 半透明プラダン プランターの幅と奥行に+4cm程度~の大きさ。プランターと木材を固定するビス(ネジ)6本
- 蓋と木材を固定するためのガンタッカーか釘、ビスなど
- お好みで木材用の塗料
- プランターの容量に合わせた黒土(上記のプランターでは、14L入りを2袋で少し余りました。ホームセンターの園芸コーナーに売っています。)
道具
- 電動ドリル
- 電動ドライバー
電動工具が無い人はホームセンターで借りるか、下穴を空けるためのキリとドライバーがあれば良いと思います。
ようはプランターと木材を固定できればOKなので、ガタついても良ければプランターに穴をあけて麻紐などで固定する形でも大丈夫だと思います。
注意
- 蓋になるプラダンのサイズは、プランターの土に雨がかからないサイズで調整してください。プランターの土が濡れると、悪臭や虫の原因になります。
- キエーロは表面の土を乾いた状態に保つのが、快適に使用するための条件です。ごみを埋めた上にしっかりかぶせられる量の土を用意してください。ごみが土の上にはみ出してはいけません。
- 材料は使うものや状況に応じて適宜調整してください。
- プランターの深さは、できれば30cmくらいあると良いと思います。キエーロで生ごみを分解してくれる微生物は、地中20cmくらいで活発に働くそうです。

手順1.木材を採寸
プランターの幅に合わせて+1cmくらいで、ざっくり採寸しました。
ホームセンターで木材をカットしてもらう人は、あらかじめプランターの寸法を図っておいてください。
木材をカット
ホームセンターでカットしてもらうのが楽です。
私は手持ちの1×4材を縦にのこぎりでカットしてから、プランターの幅で長さを揃えました。
小型のこぎりしか持っていないので、これが一番疲れた作業…縦に切る時は固定しづらくて…
ついでに、ホワイトウッドという屋外で使うと腐りやすい木材だったため、手持ちの柿渋を塗って防水性と防腐性を少しばかり高めてみました。
屋根のあるベランダならさほど気にしなくても良いと思いますが、ガンガンに雨が当たる場所に置く場合は防腐・防水塗料を塗るか、腐りにくい木材をホームセンターの店員さんに聞くなどしてください。
プランターと木材、プラダンを組み立てる
組み立ての順番は自由ですが、私の場合は以下の手順でした。
- プランターに、蝶番側の木材を1本取り付ける(プランターを逆さにして、木材と重ねてドリルで下穴を空けてから、左右と中央の3箇所をビス止め)
- プラダンの長辺にガンタッカーなどで木材を取り付ける(ガンタッカーの針が細かったりパワーが弱いと打ち込む時に折れます。その場合はビスか釘を使ってください。蓋の手前側の木材はプランターの端に乗るようにした方が良いかと。木材の重さで固定した部分のプラダンが傷みそうなので。)
- 蓋側とプランター側の木材を蝶番で固定する
蓋が先に出来上がっていると蝶番を取り付ける際に取り回しが悪かったので、先に木材に蝶番を取り付けてから、蓋部分を取り付けても良かったかもしれません。

黒土をプランターに入れる
ドサーーーっと。
土がとても細かくて結構こぼれるので、ほうきとチリトリを用意しておくと良いです。そして土が乾き気味だと、舞い上がります。
土埃が気になる人はマスクを着用したり、白い服は避けた方が良いでしょう。
ベランダなのでこぼれた土が排水管に詰まらないよう、念のためご注意を。
完成!

材料費は1,500円弱
木材の分を入れても、2,000円しないのでは?
作成してから3週間、順調に生ごみを分解してくれています。生ごみを埋める頻度は、週2回程度。3~4日おきに埋めている計算です。
ミニキエーロを使い始めてからの変化
ミニキエーロを使い始めてから、燃えるゴミの量が激減しました!
何といっても、ゴミ箱の臭いが軽減したのと、ゴミ出し時の重さや生ごみからの水モレが気にならなくなり、ものすごーく快適です!
そしてプラごみと燃えるゴミの分別も丁寧にするようにしたところ、大サイズのゴミ袋を週2回使っていたのが、週1回でも余裕になりました。
ミニキエーロは分解できる生ごみの量が少ないので、調理の際に出る野菜くずなどをできる限り減らすようにもなり、結果的に環境にも家計にもプラスになっています。
使い方を間違うと虫が沸いたり、分解がうまくいかないこともあるようです。そのあたりは各自治体の資料に明示されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
使い始めてからの様子については、こちらの記事で紹介しています!
ちなみに…
冒頭で掲載したこの写真は、キエーロの土から生えてきた芽です。
食べ物の種も埋めるので、時折こんなほほえましい光景に出会えます。