街で見かけるファストファッション店で私たちは決して高価とは言えない値段で服を購入することが出来ますね。どうして高価とは言えない値段で服を製造、販売することが可能なのか疑問に感じたことはないですか。もし私が服を0から製造、販売するしたら、Tシャツ1枚を1000円未満で販売することは不可能です。
服の製造から販売に至るまでには多くの工程があり、糸を作る人、布を織る人、デザイナー、パタンナー、生地の裁断をする人、縫製する人、梱包する人、輸送する人、販売する人などその他にも多くの人が関わります。そんな中あなたの着ている服は、その人達に平等に賃金が支払われているのでしょうか。
実際に服を作る人には、服の値段の2%しか支払われていない
出典:https://www.macleans.ca/economy/business/what-does-that-14-shirt-really-cost/
こちらの画像は、海外で14ドルのあるTシャツにかかった製造コストを内訳の割合ごとに色分けし表したです。コストの内訳は、
- 小売5.67ドル
- 素材3.69ドル
- 輸送料1.03ドル
- 工場の所有者0.58ドル
- 仲介0.18ドル
- 労働者0.12ドル
- 工場のトップ0.07ドル
出典:https://www.macleans.ca/economy/business/what-does-that-14-shirt-really-cost/
となっており実際に服を作る人には服の値段の2%に相当するコストのみが支払われています。そしてそれは1日10時間以上働いても月収4000円程度にしかなっていないと言う現状を表しています。
安価な服=安価な労働力を求めて起こった悲劇
2013年4月、バングラデシュのラナ・プラザという縫製工場入ったビルが崩落するという事故が起こりました。
犠牲者の数は1000人以上といわれていますが、この崩落に至った原因は世界のアパレルメーカーからの生産量増加の要望に応えるために安価で違法な増築を繰り返し、従業員の安全管理を怠ったことによるものです。
国際的にも大きな問題になったこの事故の後、労働基準の見直しにより最低賃金が月収1万円となったようです。また非難を受けたアパレル業界は、欧米を中心としたアパレル企業によって同盟を結成し、縫製工場の安全、労働環境の改善が進められています。
しかしこの悲劇は稀でなく、また同じ事の繰り返しが他の国で起こりかねません。何故なら、中国は世界最大の縫製品輸出国で近年では労働環境も改善されていますがその改善に伴った人件費の上昇により、人件費の安価な他の国へと製造依頼が移っているからです。
人だけでなく、環境汚染にもつながる
安い服を売るメーカーの経営は薄利多売に基づき利益を上げる為に大量生産が基本になります。それにより資源の無駄遣いや環境汚染にも繋がります。資源については衣類の製造過程では多くの水、植物を育てるための場所、電力などが大量に必要になります。染色には化学物質を利用します。更に服が販売可能になった後には店に並ぶ服の約半分は売れ残り、廃棄処分されゴミとして処理される過程で環境汚染につながってしまうのです。
私達がすぐできることは、「調べること」
と言はいえ、「安い商品だから労働搾取しているかもしれない」とボイコットするのではなく、気になった商品があった場合にその企業について調べてみましょう。企業によっては安くとも対策をしているところもあります。
「少しでも疑問に思ったら、その商品がどんな背景で作られているか調べてみる」その行動こそが、すぐに出来て問題解決につながる大事なきっかけになると思います。