いま海で起こっていること

いま海で起こっていること

私は今年、2度海に行きました。一箇所は人が滅多に来ないような九州の端にある岩場と、もう一箇所は愛知県のとある離島で、陸地から船で20分ほどかけていくような場所に行きました。

このように書くと、人が来ない場所だから綺麗なんだろうな、と思われる方もいるかもしれません。私も行く前はそう思っていました。しかし九州では、色々な場所から来たであろう大量のゴミが打ち上げられており、50メートルほどの範囲を30分ほどかけてゴミ拾いをしましたが、車の後ろの荷台部分にいっぱいになってしまいました。そして離島には、各地から来られたというボランティアの方が軽トラいっぱいになるほどのゴミを片付けてくれていました。

しかし、海の問題は今やゴミだけではありません。このブログでは、現在海に起こっている問題をまとめてみようと思います。

 

ゴミによる深刻な汚染問題

私が行った海岸には色々なゴミがありました。例えばペットボトル、漁業用の網、発泡スチロールの入れ物、プラスチック製のかご、ビニール袋、サンダル、ライター、タバコ、空き缶、釣り具などなど、キリがありません。

そして中にはずっと放置されていたであろう郵便番号が3桁の時代のプラスチックのお菓子の入れ物(平成1022日以前)や、海外から来たと思われる英語で説明が書かれたバケツのようなゴミも打ちあがっていました。

しかし、実はそのゴミはほんの一部にすぎません。プラスチック製品には浮くものと浮かないものがあり、浮くものだけが浜辺に打ち上げられるのです。浮かないものは全て、海へと流されたまま、戻って来ることはありません。

マイクロプラスチック

そして一番の問題は、5mm以下のマイクロプラスチックの存在です。中には肉眼では見えないものまで存在します。マイクロプラスチックには2種類あり、初めから小さい状態で研磨剤や化粧品などに使われたり、プラスチックの原料にするためのペレットという状態の一次マイクロプラスチックと、初めは大きい状態だったものが細かくなってしまった二次マイクロプラスチックに分けられます。

太平洋ゴミベルト

太平洋ゴミベルトとは、1997年にチャールズ・ムーアというヨット愛好家の人が発見した、ゴミが漂う海域のことを言います。名前からすると、島のように固まったゴミがあるかのように思われますが、実は細かな網でしか取れないようなものから船に乗せられないような巨大なものまで、色々なものが集まってきます。

多くが漁業用の網で、全体の46%にも達します。長い船上生活により出たゴミが捨てられる事もあります。恐ろしい話ですが、太平洋ゴミベルトにあるゴミの全体の1020%は日本の海域から出たものと言われています。

太平洋ゴミベルト、46%が漁網、規模は最大16倍に

陸からやってくるゴミの中には、川から流れ込む街のゴミや、津波や洪水により流れ込む街のゴミなど様々です。他にも、工場から垂れ流された毒性の強い化学廃棄物をそのまま川に流すこともあります。近年問題になっている汚染水も、いつ海に放流されてしまうか、わかりません。

海はとても広いので、もしゴミを捨てたとしたらそのゴミは私たちの前からは姿を消すことでしょう。しかし、それは無くなったわけではなく確実に海のどこかで眠っているのです。

海洋生物の減少

海がプラスチックのゴミだらけになっているだけではありません。最近ではサンマの漁獲量の減少がニュースになりましたね。ただ、減っているのはサンマだけではありません。1970年から2012年にかけての40年で、全体の海洋生物の個体数がほぼ半減したという報告があります。さて、ではなぜ海洋生物が減ってしまっているのでしょうか。

海洋生物の個体数、40年でほぼ半減 WWF

乱獲による生物の減少

経済の発展は著しく、高機能な商品が毎月のように発表されます。そんな中、もちろん漁業も発展しています。昔は魚を捕まえるには釣りをしたり、小さな網で捕まえるような、ごく小規模の漁獲量でしたが、現在の漁業方法はといえば、魚群探知機などで魚の群れを根こそぎ捕まえることができてしまいます。そういった漁業方法が、世界各国で行われているのです。そうして取られた魚は、季節を問わず毎日のようにスーパーや寿司屋などで振るわれます。

では養殖の魚なら良いのかと言われると、それも違います。実は大型魚の餌となる小魚を海から取るために、天然の魚の餌が減っているのが現状です。

さかなクンが語る、漁業の現状

「魚の養殖」が増えるほど、天然魚が減る矛盾

プラスチックの誤食

動物たちは、プラスチックを間違えて食べてしまいます。例えばアホウドリはカラフルなペットボトルの蓋や使い捨てライターを好んで食べるようです。それは、かわいそうなことに彼らの好物のイカに似ているからだろうと言われています。

さらにマイクロプラスチックには匂いが付きやすく、小さな動物性プランクトンは好んでマイクロプラスチックを食べているという研究結果もあります。プラスチックを間違えて食べた動物は、プラスチックが消化されずに胃に残るため、お腹が減りません。しかしプラスチックから栄養が取れるわけがなく、そのまま餓死してしまうのです。

さらに、プラスチックの原料にするためのペレット状のマイクロプラスチックは、汚染物質を吸着します。それは、海の汚染レベルを計測するためにも使われるほどです。そういったマイクロプラスチックを体内に入れた動物は、体内に毒素が蓄積されていきます。それから大きな魚に繰り返して捕食されていく度に毒素はどんどん凝縮し、最終的にその魚を食べた私達人間にまで到達します。

海岸漂着プラスチックレジンペレットを分析した地球規模のPOPsモニタリング

ゴーストネットやプラスチックゴミから逃げられない動物たち

上に書いたように、漁網がゴミの全体をしめているのですが、その漁網は遺棄された後も変わらず、動物たちを捕まえ殺しています。他にも、ビニール袋やプラスチックボトルの蓋などに引っかかって死んでしまう子もいます。中には成長する過程でだんだんと首が締まっていき、じわじわと苦しみながら死んでしまう子もいます。被害を受ける動物は数しれません。

温暖化によるサンゴの白化

サンゴの白化現象も近年問題となっています。サンゴの白化現象には原因が何個かあるようですが、大まかに分けて、環境汚染と水温の変化に関係があるようです。サンゴには褐虫藻という生物が住み着いており、その生物と共存しています。白化現象は、その褐虫藻がサンゴの体から何かしらの原因で出て行ってしまったために起こります。この状態ではサンゴは死んていませんが、瀕死状態と言えます。サンゴが死んでしまうと、サンゴ礁を住処にして共存している魚も生きてはいけません。

サンゴの白化現象

海を守るために

これまで海の現状をお伝えしましたが、ではどうしたら海の美しさを保てるのでしょうか。
私たちがすぐ出来る身近な方法が書かれたブログが関連記事に出るので、是非、参考にしてください。

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